朝倉未来がなぜ右利きサウスポーなのか?
その理由を本人が発言したモノは見つけられませんでしたが、少なくともボクシング含めスポーツ全般で「サウスポーは有利」ということが言われています。
※追記:本人がその理由を語った動画が出ましたので追記しました。
今回はスポーツの中でも総合格闘技に近い「ボクシングでサウスポーが有利な理由」を元WBA世界ライトフライ級王者である渡嘉敷勝男さんの言葉を参考に紹介します。
追記:足を怪我して使えなくなったためサウスポースタイルになった
上記の動画は朝倉未来のデビュー戦を本人が解説しているものなのですが、その中で本人が「サウスポースタイルになった理由」を話しています(4:25あたりから)。
これによると、ミノルという選手に足を極められて、右足で蹴れなくなったため、サウスポースタイルになったとのことです。
しかも、オーソドックススタイルの時は弟の海選手のようにパンチをもらいながらもガンガン前に出て倒すイケイケスタイルなのだそうです。それは打たれ強さに自信があったからなのだそう。
サウスポーに変えてから、今のような「なるべくもらわないスタイル」になったそうです。
しかも、今でもオーソドックスにすると、もらいながら当てていく海選手のようなスタイルに“戻る”そうです。
これは今後試合中に、オーソに変えてイケイケスタイルになったら面白そうですね〜!
渡嘉敷さんによる「ボクシングでサウスポーが有利な理由」解説動画2つ
渡嘉敷さんは次の2つの動画で「ボクシングでサウスポーが有利な理由」を述べています。
それでは上記動画のポイントを紹介していきます。
ボクシングでサウスポーが有利な理由
ボクシングにおいてサウスポーが有利な理由は次のポイントにまとめることができます。
- 日本のボクシング世界チャンピオンの25%がサウスポー
- サウスポーはオーソドックスを研究しやすい
- 日本で10回以上防衛したチャンピオンの6人中4人がサウスポー
- 利き手でジャブを打てるから有利
- サウスポーは出会い頭に右カウンターフックが取れる
- サウスポーはカウンターのタイミングが取りやすい
日本のボクシング世界チャンピオンの25%がサウスポー
世界の全人口あたりの左利きの割合は10%と言われています。
ところが、日本のボクシング世界チャンピオンにはサウスポースタイルの選手が25%もいます。100人中25人もの割合になります。
一般的な割合の2.5倍もサウスポーが多いわけですから「ボクシングにおいてサウスポーは有利」ということが見て取れます。
サウスポーはオーソドックスを研究しやすい
日本のチャンピオンのサウスポー率が25%だとして、その割合を全ボクシング人口に当てはめて考えてみます。
そうすると、全ボクシング人口の75%がオーソドックススタイル(右利きスタイル)ということになります。
世界的なボクシング記録サイト「ボックスレク」によると、2017年4月20日時点で、アクティブに活動しているプロボクサーの数は世界で2万3460人のようです(参考)。
ということは2万3460人中、17595がオーソドックス、5865人がサウスポーになります。
この割合で試合をしたとすると、次の2つのポイントが見えてきます。
- サウスポーはオーソドックスと試合する確率が“高い”
- オーソドックスはサウスポートと試合する確率が“低い”
ということは、サウスポーの選手はオーソドックスの選手と試合する頻度が“高い”わけですから、「オーソドックスの選手を研究する時間」が“増え”ます。
逆に、オーソドックスの選手はサウスポーの選手と試合する頻度は“低い”わけですから、「サウスポーの選手を研究する時間」が“減り”ます。
単純に、
- サウスポーはオーソドックスの選手に対する経験値・研究時間が“多く”
- オーソドックスはサウスポーの選手に対する経験値・研究時間が“それほど少ない”
ということがわかります。
これらのことから、「サウスポーはオーソドックスに対して有利な状況が環境的に生まれる」ということがわかります。
日本で10回以上防衛したチャンピオンの6人中4人がサウスポー
また、日本のボクサーで10回以上も防衛しているスーパーチャンピオンは6人いるのですが、その内4人がサウスポースタイルです。
そのスーパーチャンピオンは次の方々です。
- 具志堅用高
- 山中慎介
- 内山高志
- 長谷川穂積
- 渡辺二郎
- 井上尚弥
この内、4人がサウスポーです(具志堅用高、山中慎介、長谷川穂積、渡辺二郎)。
6人中4人ですから、実に67%がサウスポーになります。
- 世界人口のサウスポー10%に比べると6.7倍
- 全ボクサー人口のサウスポー25%に比べると2.7倍
の割合でサウスポー率が高いです。
チャンピオン・オブ・チャンピオンである6人の内4人がサウスポーだとすれば、やはり「ボクシングにおいてサウスポーは有利」ということが見て取れます。
右利きサウスポーは利き手でジャブを打てるから有利
「左を制する者は世界を制す」
というボクシングの格言があります。
これは「右利き(オーソドックス)選手が左で打つ「ジャブ」を上手く打てると、世界を制することができる」という意味です。
朝倉未来のように右利きサウスポーの選手は、利き手である右手でジャブを打つことができまます。
参考:朝倉未来は右利きです
右利き選手は、普段右手を使っていますから、当然、左手よりも動きの精度が高いです。
その「高い精度で動かせる右手でジャブを打てる」ので、少なくともボクシングにおいて、右利きサウスポーは有利だと渡嘉敷さんは言っています。
これと同じことが総合格闘技でも言えるはずです。
サウスポーは出会い頭に右カウンターフックが取れる
サウスポーがオーソドックスと戦った場合、出会い頭で右のカウンターフックが入りやすいです。
さらに朝倉未来のような右利きサウスポーの場合、“利き手で”カウンターフックを打てるので、より重いと思われます。
朝倉未来のOUTSIDER時代の戦績を見てみると8戦目以降は5試合中4試合が「右フックがきっかけでKO」しています。
おそらくこのあたりから「右フックのカウンター」のコツを掴んだのだと思います。
サウスポーはカウンターのタイミングが取りやすい
重複になりますが、サウスポーはオーソドックスの選手と試合することが多いです。
そのため、当然「オーソドックス相手のカウンターのタイミングも(対オーソドックスの経験値が豊富なため)取りやすい」ことになります。
まとめ
これらが「少なくともボクシングにおいてのサウスポーが有利な理由」です。
渡嘉敷さんによると「野球でもサウスポーのピッチャーは有利」というデータがわかってきているそうです。
世界人口的に見て、サウスポーの割合が10%だとすれば、当然、(対戦するタイプの)全てのスポーツにおいて次のことが言えるはずです。
「サウスポーの選手はオーソドックス相手の経験が豊富だが、オーソドックスの選手はサウスポー相手の経験が少ない」
ということは「対戦するタイプの全てのスポーツのおいてサウスポーは有利」と考えられます。
朝倉未来がこう考えたのかはわかりませんが、総合格闘技においてもサウスポーはかなり有利だと考えられます。
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